ケトジェニックダイエットは炭水化物の摂取量をほぼゼロにして代わりに脂質を大量に摂るというダイエット方法です。
近年この糖質ゼロダイエットともいわれるケトジェニックダイエットが流行り始めていますよね。
筋トレをしない人は筋肉が落ちるとかあまり気にせず取り組んでいるかと思いますが、筋トレをしている人はパフォーマンスが落ちるんじゃないかとか筋肉が減りやすいんじゃない?という疑問を持って取り組むのが怖いといった方もいるかと思います。
本記事では筋トレのパフォーマンスがケトジェニックダイエットによって落ちてしまうのか研究論文を引用してご紹介します。
先に行ってしまうと方法によっては落ちません。落ちない方法もしっかりと解説できたらなと思います。
記事の信頼性
NSCA CPT パーソナルトレーナー 有資格
NSCA The Journal of Strength and Conditioning Research 英文会員
3年間20kg以上のリバウンドと20kg以上の減量を毎年繰り返してます。
英文の研究論文をできるだけわかりやすく解説していくコンテンツです。
ケトジェニックダイエットとは
炭水化物類を完全に抜いてたんぱく質と脂質を摂る方法。
一日に摂るべきトータルカロリーの比率は以下の通りです。
一日分のトータルカロリー比率表 | |
炭水化物 | 10%以下 |
たんぱく質 | 20~30% |
脂質 | 60~80% |
脂質を全体の60~80%摂取ってけっこう大変ですよね。
たんぱく質は体重×1.2~2g程度摂取します。(ex.60kgだったら60x1.2=72g/1日)
炭水化物は20~50g以下に抑える必要もあります。
かなり栄養バランスに気をつけなければいけないダイエットだということも表を見るとわかります。
計算するだけで面倒だと思いますが、カロリー計算ツールのカロリースリムを使うと簡単に調べられるのでおすすめです。
単純に「お米とかお菓子類食べなければいいんでしょ?」といった考えで取り組んでも失敗してしまうのがケトジェニックダイエット。
実は根菜類には多くの炭水化物が含まれています。
▼たまねぎMサイズ1個のカロリーバランス
炭水化物を1日20~50g以下に抑える必要があるのに、たまねぎ1個で15gも入っています。
こういった野菜でも炭水化物を多く含んでいるものもあるので注意が必要ですね。
パフォーマンスが落ちない方法とは
結論から言うと2~3か月以内のケトジェニックダイエットならパフォーマンスは落ちません。
それ以上行った場合のリスク等は次の、パフォーマンスが落ちる方法とはでご紹介します。
1~2か月で-5kgとか短期間で目標を達成しようとしてカロリーを大幅に削る場合はパフォーマンスが落ちてしまいます。
しかし、中長期的に最初の1か月だけケトジェニックを実践する!だとか停滞期が来たからケトジェニックに切り替えてみる!といった理由での短期間で実施するのに効果的です。
実際に、体重の減りが悪くなったかな?とか代謝が落ちてきたかもといったタイミングでケトジェニックを取り入れるボディビルダーが多数います。
短期間での実施であれば、筋肉内の水分量などが減りにくくパフォーマンスを維持しやすいです。
僕のおすすめはバランスの良い食事から始めて、停滞したなと思ったらケトジェニックに1か月切り替えてみる。
そして、通常の減量食に1週間程度戻して、チートデイで炭水化物を一気に補給してあげる方法です。
こうすることで基礎代謝が落ちたり、ホメオスタシス(身体を一定に保とうとする恒常性)に対して身体をだましてあげることが出来ます。
ぜひ気になった方は実践してみてください。
ケトジェニックダイエットが効果的だという研究論文
25人の大学生に対してケトジェニックダイエット中のパフォーマンス、体組成など研究した報告があります。
The Effects of Ketogenic Dieting on Body Composition, Strength, Power, and Hormonal Profiles in Resistance Training Males
J Strength Cond Res.2017 Apr 7
方法
期間:11週間 人数:25人の5.5±3.8年のトレーニング経験者 グループ 1 :ケトジェニックダイエット グループ 2 :ウェスタンダイエット(コレステロール・脂肪を多く含む炭水化物メインの食事) 概要:10~11週目に炭水化物を食べてレジスタンストレーニングを実施 除脂肪体重、パワー、テストステロンなどを測定 |
結果
除脂肪体重は両グループ共に増加
筋力、パワーともに両グループで増加
テストステロン値がケトジェニックグループは有意に増加(KD:118ng/dl. WD:-36ng/dl.)
ウェスタンダイエットは炭水化物を摂って、飽和脂肪酸が多い食品(卵やチーズ、肉)が多い食事のことを指しています。炭水化物を摂るぶん通常のダイエットと捉えておきます。
それと比較しても同程度の結果を得られていますし、何よりテストステロン値が上昇するということは男性ホルモンが活発化したということです。
男性ホルモンが活発化するのはうれしい内容ですね。
パフォーマンスが落ちてしまう方法とは
パフォーマンスが落ちてしまう例として一番やってはいけないのが長期間に及ぶケトジェニックダイエットの実施です。
長期間行うことで糖質を元とする筋グリコーゲンが水分量の減少と共になくなっていきます。
なので、筋肉量がある人ほど筋肉がしぼんだと感じやすいでしょう。
水分量が減るということは筋力、パワーが出ないということに直結しますので、長期間行う場合は確実に筋力が落ちると考えて間違いないでしょう。
海外のINSIDERというサイトで長期間ケトジェニックダイエットを行ってはいけないという7つの理由という記事があったので紹介します。
この記事で紹介されているのは
生物学的に炭水化物をエネルギー源として利用し脂肪を蓄えることを好む
炭水化物を燃料として利用したいのに、脂肪を燃料とすることは労力がいる
そのためパフォーマンスの低下が起こる可能性があるだろう
僕自身もケトジェニックダイエットを実施してみて感じたことの一つです。
筋トレの質がかなり低下するのを肌で感じているからこそ長期的に行うことは絶対におすすめしません。
長くとも2~3か月以内にとどめておきましょう。
副作用
副作用について詳しく解説しているのが公益社団法人日本農芸化学会出版の山本裕司氏が発表した報告書です。
化学と生物 Vol. 54, No. 9, 2016 PDF版
ケトジェニックダイエットは糖尿病や肥満の改善に有効である一方、副作用もあるということがわかっています。
LDL(悪玉)コレステロール値の増加
セレニウムや銅、亜鉛などのミネラル欠乏
高尿酸血症
肝臓結石
尿結石
こういった症状が挙げられています。
一般的にも症状として出やすいのが
体臭の変化(ケトン臭) 口臭 便秘 睡眠障害 |
かなりデメリットが多いように感じますね。
しかし、短期間で一時的なダイエットとしてはかなり効果的です。
こういった症状が出てしまう前に通常のバランスの良い減量食に戻してしまえば、症状も感じずに取り組むことが出来るでしょう。
ヨーヨーダイエットになりやすい人は注意!
ヨーヨーダイエットという言葉は聞きなれない方も多いのではないでしょうか。
いたって簡単です。
リバウンドを繰り返してしまうこと=ヨーヨーダイエット
せっかく体重を減らしてもまた戻ってしまった...また痩せないと!といってダイエットとリバウンドを繰り返してしまう場合、死亡リスクが急激にあがります。
ボディビルダーも短命な人が多いと思います。彼らは短期間に急激なダイエットと極限まで絞るという作業を毎年、あるいは年に数回行っています。
このような行為を大小問わず繰り返していると心臓血管系に負担がかかるのは明らかですよね。
糖尿病ネットワークで紹介されている記事では、ヨーヨーダイエットで死亡リスク3.5倍もと海外の調査を紹介されています。
ケトジェニックダイエットはダイエットを辞めた次の日からまた炭水化物類の糖質を摂ることになると思います。
糖質を制限した反動で、糖質を多く求めてしまいリバウンドしてしまうという例が多数あります。
なので、リバウンドを起こさないためにも糖質は削らず、健康的なバランスの良い食事を継続可能な形で摂取するのが第一でしょう。
まとめ
ケトジェニックダイエットがどういったリスクとメリットがあるかここまで紹介してきました。
簡単にまとめると
ケトジェニックダイエットは長くとも3か月以内
停滞期が来たらケトジェニックに切り替えてみる
ケトジェニックは通常の食事と比較しても体脂肪の減少と筋力の向上が見込める
長期的に実施すると副作用が大きくなる
ダイエットとリバウンドを続けてしまうリスクがあるヨーヨーダイエットに気をつけよう
こういった内容でお伝えしました。
絶対にリバウンドしたくないという方は普段の食事の見直しとしてバランスを良くしてゆっくりと減量するのがおすすめです。
ただし、停滞期が来たら一時的なテクニックとしてケトジェニックダイエットに切り替えるというのが最善だと思います。
一気に痩せようという考えでケトジェニックダイエットは危険なので、計画的なダイエットを行っていきたいですね。
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