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【筋トレ論文レビュー】セット間の休息の長さがレジスタンスエクササイズのパフォーマンスと筋の適応に及ぼす影響

筋トレを行っていくなかで休憩時間(インターバル)をどれくらいとればいいのか悩むことがありませんか?

一般的には筋持久力を鍛えるなら1分以内、筋肉量アップなら1~2分、筋力パワーアップなら3~5分など言われています。

しかし、最近ではそのような考え方はあまり主流ではありません。

筋持久力を鍛えるのに初心者のうちから

インターバル1分で筋トレしても持久力が鍛えられるわけではないことがわかっています。

さらに、筋肉量を増やすならトレーニングで扱った総重量を大切にして

インターバル時間を決めようとも言われています。

本記事ではNSCA出典の論文を引用してわかりやすく解説していきます。

参考文献はこちら▼

セット間の休息の長さがレジスタンスエクササイズのパフォーマンスと筋の適応に及ぼす影響

NSCA JAPAN Volume 26, Number 1, pages 46-49

インターバルをどうすればいいかお悩みの方はぜひ参考にしてください。

 

セット間(休憩中)のインターバル時間とは

セット間のインターバルをとる目安として筋持久力、筋肥大、筋力の3つを例にあげました。

このインターバルが短いほど持ち上げるパフォーマンスが落ちますよね。

例えば100m走を全力で走ったあとに、休憩時間が1分、もしくは5分だったとしたら

5分の休憩時間のほうが、続いてのパフォーマンスが高いはずです。

この目的がインターバルを短くして心肺機能を強化するのか

またはインターバルを長くして瞬発力(パワー)を高めることを重視するか

この目的によってインターバルが変わってきます。

筋トレにおいても同様ですが、多くの方は筋肉をつけたいとか健康維持といった目的だと思います。

何が最適かはまだはっきりと分かっていませんが、現状でわかっていることを紹介していきます。

筋持久力のためのトレーニングはやめよう

筋持久力を高めるのに1分以内のインターバルで収めようという考え方が広く知れ渡っています。

しかし、筋持久力とは筋トレにおいてあまり意味がないかもしれません。

というのも参考例として▼を見てください。

1.ベンチプレス50kgを10回挙げられる人

2.ベンチプレスを100kgを10回挙げられる人

この2人を比べたら30kg100回挙げるのにかかる時間はどっちが早いのか

2のベンチプレス100kg10回の人ではないでしょうか

筋力が高ければ高いほど持久力があると言えます。

さらに紹介した論文でもこのような実験結果がまとめられています。

1回持ち上げられる重量の40%の重さで8回✕5セットを実施

筋力が高い人=2分のインターバルで終了

筋力が低い人=最低3分のインターバルが必要だった

J Strength Cond Res  Influence of Strength Level on the Rest Interval Required During an Upper-Body Power Training Session 

このような実験報告もされているので筋力を高めることを優先すべきです。

もちろん短いインターバルで続けていれば筋持久力はついていきます。

これは短いインターバルに耐えられるよう、身体が勝手に適応していくようになるからです。

目的を早く達成したいか、じっくり目標を達成したいか考えてインターバルを決めてみましょう。

筋力と筋肥大をしたいなら長めのインターバルを

まず筋肥大が目的なら1~2分という昔ながらの考えは捨てましょう。

このインターバルは短すぎます。

ではどれくらいインターバルをとればいいのか

それは3~5分程度必要です。

筋肉を大きくするには運動強度と量が大事です。

運動強度は短いインターバルだと神経の回復が追いつきません。

さらに瞬発力を必要とするクレアチンリン酸などのパワー源が回復しきれません。

この神経とパワー源を回復させるのに必要な時間が3~5分必要だということです。

パワーを発揮できればそれだけ重い重量も挙げられ、

多くの筋肉(運動単位の発火頻度など)が動員されるので、トレーニングボリュームが増えます。

筋力だけ挙げたいという方は5分以上のインターバルが必要ですが、これに関しては別記事で紹介します。

トレーニングの総重量が気になる方はこちらの記事がおすすめです。

インターバルによってホルモンと代謝に影響を及ぼします

ホルモンとは成長ホルモンやテストステロンなどを言います。

ここでは代謝のことを代謝ストレス、乳酸などを指します。

成長ホルモン・テストステロンを多く分泌するインターバルとは

諸説あり、あー言えばこういう状態なので確かなことははっきりしていません。

しかし複数の研究ではこのようなことが報告されています。

1.5分以内のインターバルvs長いインターバルでトレーニングを実施

成長ホルモン、テストステロン、コルチゾールなど

短いインターバルのほうが優位に高まった。

一方では2分と5分のインターバルで比較実験したところ

ホルモンの上昇率は変わらなかったとも報告されているようです。

短いインターバルのほうが筋肥大しやすいという考え方は正しいとは言い切れない状態です。

短すぎるインターバルは解糖系エネルギー依存になってしまうかも

人間が動作を行う時はエネルギー源を選択しています。

ホスファゲン機構 無酸素運動(瞬発力)
解糖系 速い解糖(無酸素的)
遅い解糖(有酸素的)
酸化機構 有酸素運動

筋力トレーニングでは主にホスファゲン機構と解糖系(速い解糖)などが使われています。

しかし短すぎる体内のクレアチン補給が間に合わず、

解糖系エネルギーにシフトしていってしまいます。

これでは大きなパワーを発揮できないというデメリットがあります。

このエネルギー源に対する代謝ストレスは良い影響もあるかもしれないので

重量選択という面ではインターバルを長くするか短くするか微妙なところです。

私個人としては、トータルの総重量を増やすためにインターバルを長くとるべきだろうと思います。

インターバルに関する論文紹介

今回引用している論文から一部抜粋して紹介します。

まずはこちら

Longer inter-set rest periods enhance muscle strength and hypertrophy in resistance-trained men.

J Strength Cond Res 2016 Jul;30(7):1805-12.

トレーニング経験者を対象

8週間にわたって3分と1分のインターバルでグループ分け

その結果3分のインターバルのほうが筋力と筋肥大が大きかった。


 

続いてこちら

The effect of resistive exercise rest interval on hormonal response, strength, and hypertrophy with training

J Strength Cond Res 2009 Jan;23(1):62-71

トレーニング経験なしを対象

10週間にわたって2.5分と1分のインターバルでグループ分け

その結果2.5分のインターバルのほうが筋肥大効果が高かった。

しかし、筋力に大きな違いはなかった。


 

まとめ

自分のインターバルが適切だったか、あるいは試してみようと思っていただけたでしょうか

本記事では、筋持久力を高めるための方法や筋肥大、筋力に関する論文を紹介しました。

個人的にはインターバルを3分以上とるべきではないかと思います。

トレーニングの総量を増やすには3分程度のインターバルをとらなければ

筋力が回復しないということが言えるからです。

ただしトレーニング上級者に関しては別です。

インターバルを短くしてトレーニングを継続していくと、身体はそれに適応します。

適応して回復力が速い、または筋持久力が高まるからです。

あとは自分自身が今どのくらいの立ち位置だろうか考えてインターバルを決めましょう。

筋トレを始めたばかりの方は短いインターバルで軽い重量をいっぱい行ったほうがいいです。

半年程度筋トレをしているなら重量をあげてインターバルを長くするなどいいかもしれません。

自分の現状にあったインターバル設定をして、定期的な見直しを図るというのが現実的です。

ぜひ色々なインターバルを試して実践してみてください。

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