スクワットは下半身の強化ならびに姿勢を保持する脊柱起立筋群の背中を鍛えるのに有効なトレーニング方法です。
スクワットのバリエーションは多く、ダンベルや自重でのバリエーションスクワット、バーベルを身体の前で担ぐフロントスクワット等があります。
最も一般的なのが背中にバーベルを担ぐバックスクワットです。
このバッグスクワットでも僧帽筋の上で担ぐハイバースクワットと肩甲骨あたりでバーベルを担ぐローバースクワットがあります。
今回紹介する論文は、このハイバースクワットとローバースクワットが大腿筋のどこに効きやすいかということを調査した論文です。
The High-Bar and Low-Bar Back-Squats: A Biomechanical Analysis
またNSCAより2019年に発行された比較的新しい物ですので、スクワットをトレーニングに取り入れている方はぜひ参考にしてみてください。
ハイバースクワットのメリット
ハイバースクワットは僧帽筋の上に乗せて行います。
僧帽筋の上にバーを乗せることによって上体を比較的立ててしゃがまなければバランスがとれません。
なので大腿四頭筋周りの強化に最も有効です。
その反面、お尻の筋肉や脊柱起立筋群は上体を立てていることによってパワーを発揮しずらく高重量を扱うのに不向きでもあります。
最もこのハイバースクワットで行うことを推奨されるのはこのような方たちです。
1.大腿四頭筋をメインで鍛える 2.オリンピック重量挙げ選手 3.自転車競技者など |
大腿四頭筋をメインで鍛えることによって下腿の瞬発力を鍛えたり
太い脚という見た目を手に入れるためにはハイバースクワットがおすすめです。
ローバースクワットのメリット
ローバースクワットは三角筋後部から肩甲骨あたりでバーベルを担ぐ方法です。
この低い位置にバーベルを担ぐことによって、上体を前傾させてしゃがみこまなければバランスがとれません。
なので大腿四頭筋はもちろんですが、上体を起こそうとする脊柱起立筋群や大殿筋を同時に鍛えることが出来ます。
同時に作用する筋肉が多いのでハイバースクワットよりもローバースクワットのほうが高重量を扱えるようになります。
なのでパワーリフティング、重量挙げ選手などが主に取り入れている方法になります。
ローバースクワットがおすすめな方はこちら
1.高重量を持ち上げたい 2.大殿筋、股関節周りも同時にしっかり鍛えたい 3.足首が硬い人 |
リフティング選手によるハイバー、ローバー比較研究結果
十分な経験を積まれたリフターと経験の浅いリフターを対象にハイバー、ローバースクワットでどちらが高重量を扱えたか、膝の角度や股関節の角度などを各%1RMで比較した研究となっています。
研究結果を簡単にまとめるとこのようになります。
1.ハイバースクワットに比べてローバースクワットのほうが高重量を扱えた 2.膝関節の屈曲が大きかったのはハイバースクワット(100%1RMでのみローバースクワット) 3.足首の屈曲が大きかったのはハイバースクワット 4.股関節の屈曲が大きかったのはハイバースクワット 5.上体の前傾が大きかったのはローバースクワット |
ハイバースクワットは高重量を扱うのに不向きなためローバースクワットがパワーリフティングでは主流となっています。
なぜ高重量を扱えるかというと、バーの位置が低いことによって上体が前傾し広背筋や大腿筋全体を効率よく伝えることが出来るためと考えられます。
ローバーは必然的に足幅は広くなり内転筋周りや大殿筋の筋活動率は上がることも考慮できます。
またオリンピックリフティング(OLY)とパワーリフティング(POW)での挙上方法について触れられています。
1.経験豊富なリフターではOLYのほうが股関節の屈曲が強かった 2.OLYは直立した上体でのリフトにより股関節の屈曲が強くなるとされる |
まとめ
ハイバースクワットとローバースクワットの比較ということで本論文を紹介してきました。
結果としては、目的によってバーベルを担ぐ位置を替えるべきでしょう。
なんとなく感覚でわかっていたものが実際に研究で実証されることによって裏付けを得られるのは大変有益だと思います。
根拠を持ってトレーニングを行うことは自分が取り組んでいることに対して自信を持つことが出来るからです。
なぜハイバーでスクワットをするのか?
理由は様々だと思いますが私が答えるとするならば
大腿四頭筋周りを鍛えると共に膝周りや一日中座りっぱなしの生活だから背筋をしっかりと伸ばすことも兼ねてトレーニングしたいからと答えることができます。
反対になぜローバースクワットをするのか?という疑問に対しては
膝を閉じて座るのが苦手だから股関節周りと大殿筋も同時に鍛えられるローバースクワットのほうが日常生活に活かせるからと答えることも出来ます。
なぜそのフォームでトレーニングをしているのか明確な目標を持って取り組んでいきたいですね。