背中の筋肉は上半身のなかで一番広く大きな筋肉です。
日常生活で座業中心の方や、猫背になってしまう方は背中の筋肉を鍛えることで改善できます。
見た目重視で鍛えている方でも、夏場の薄着になるシーズンでは明らかに見た目が変わってきます。
身体のなかで目立つ胸と腕を中心に鍛えるよりも男は背中で語ろう。
ということで時間をかけずに効率よく背中を発達できる種目をご紹介します。
本ブログでは科学的研究論文を元にメニューを作成しています。
個人の感覚ではなく、実証されているデータで効率よく筋トレを行っていきましょう。
解剖学的なのが多くなってしまいましたので、用語ばかりが苦手な方は目次からおすすめメニューへジャンプしてください!
記事の信頼性
NSCA CPT パーソナルトレーナー 有資格
NSCA The Journal of Strength and Conditioning Research 英文会員
3年間20kg以上のリバウンドと20kg以上の減量を毎年繰り返してます。
英文の研究論文をできるだけわかりやすく解説していくコンテンツです。
背中の筋肉の働きとは
まずは背中の筋肉がどのような動きで働くのかを理解していきましょう。
動き自体は単純です。
物を持ち上げたり、綱を引いたりする動き。つまり「物を引っ張る」動作で背中の筋肉が使われます。
逆に物を押す動作は、身体の前面にある胸や肩の筋肉が使われますね。
では、背中の代表的な筋肉を一つ一つイラストで確認していきましょう。
広背筋
肩関節の伸展・内転・内旋
主に腕を後ろや下に引く動作の主力筋です。
腕の骨から骨盤まで広く大きくついている筋肉なので、一番鍛えたい部位ですね。
大円筋
肩関節の伸展・内転・内旋
広背筋と主な働きは同じなので、広背筋の補助金と考えておきましょう。
肩甲骨から腕の骨に付着している筋肉で広背筋と同じ働きをします。
大円筋を鍛えたいという方が多くいますが、特段個別で鍛える必要のない筋肉だと思います。
小円筋
肩関節の伸展・内転・外旋
大円筋と働きが違うのは、肩関節の外旋に作用する部分です。
外旋とは、腕を外側にひねる動作です。
腕相撲で負けた時の動きですね。
棘下筋(きょくかきん)
(上部)肩関節の外転・外旋
(下部)肩関節の内転・外旋
小円筋とともに上腕外旋の主力筋。
スポーツ選手に多いローテーターカフの損傷を守ってくれる筋肉です。
しっかり鍛えとかないと後方脱臼の危険性があります。
主にスポーツ選手などは運動前のウォーミングアップでローテーターカフを鍛えていますね。
僧帽筋
肩甲骨の内転・挙上、下制・上方回旋
頸椎から肩峰、背骨の中部まで大きく付着している筋肉です。
イラストでもわかる通りかなり大きい筋肉ですので、上部、中部、下部と働きが変わってくるというのが特徴です。
トレーニングを行ううえでは首をすぼめたり、肩甲骨を寄せる動作で働きということだけ覚えておいてください。
回旋、内転など専門用語が多くなってしまいましたね。
肩関節の動きについて詳しく知りたいという方は、基礎からわかる!アームレスリング講座さんでわかりやすく解説されていますので、ぜひ参照してみてください。
背中を鍛えるならこのメニュー!
背中の筋肉を鍛えるのにおすすめのメニューが5種目あります。
その5種目は手幅や握り方を変えることによって効果が変わってきます。
なので、まずは5種目をベースにトレーニングをしていき、後から自分でアレンジを加えていくというのがおすすめのメニューとなります。
ぜひ一度試して、自分なりの型を見つけてみてください。
背中を鍛えるならウォーミングアップが重要
ウォーミングアップはしっかりやっていますか?
実は背中の筋肉を動かすウォーミングアップをしっかりやることで、効果が断然変わってきます。
こちらの論文でウォーミングアップの重要性について研究報告がされていますので見てみましょう。
Journal of Strength and Conditioning Research: November 2009 - Volume 23 - Issue 8 - p 2204-2209
運動初心者を対象にラットプルダウンがどういった効果が見込めるか事前にウォーミングアップで説明した場合としなかった場合での筋電図の働きを比較した研究です。
事前説明したグループには重要ポイント3つを教えています。
1.広背筋を触って動きを確かめる
2.ターゲットとなる筋肉を事前に教える
3.腕を使って引くのではなく肩甲骨と広背筋で動かすよう説明
広背筋を動かすことをイメージしたうえでメインセットに入ることで以下のような結果が得られています。
黒色が事前説明なし
白色がインストラクターによるウォーミングアップあり
広背筋を動かすイメージをしっかり持ってウォーミングアップをしてメインセットに入ることで、筋活動率が飛躍的にアップするという研究結果です。
なので、ウォーミングアップの段階でしっかり、広背筋を触って動きを確かめてからメインセットに入るようにしましょう。
背中を鍛えることが苦手な方はしっかりと背中の動きを確かめるか、パーソナルトレーナーに見てもらうことがおすすめです。
懸垂
まず第一におすすめなのが懸垂です。
広背筋の種目別筋活動率を表したグラフをご覧ください。
chin up (逆手懸垂)
pull up(順手懸垂)
この二種目がより効果的に広背筋を鍛えることが出来そうですね。
僕のおすすめは順手で懸垂を行う方法です。
逆手懸垂だとどうしても疲れてきたら腕の力に頼って、背中が丸まりやすくなります。
また、手幅によっては手首に負担がかかりますのでリスクもあります。
なので順手のほうがより自然な動きに近いので、まずは順手で懸垂を行っていきましょう。
初心者の方は懸垂が出来ないという方も多いと思いますので代替種目も紹介します。
youtuber兼トレーナーで有名なkatochan33流ゴムチューブを使った懸垂方法
デッドリフト
脊柱起立筋を鍛えるのに最も効果的なのがデッドリフトです。
主に地面から物を引き上げる動きには、背中の力が最も必要とされます。
日常動作では買い物袋を持つのに支えたり、宅配物を持ち上げたり、姿勢をまっすぐ保つのに一番役に立つ筋肉です。
さらに、脊柱起立筋を鍛えることで、背中のたるみなどを押さえる効果も期待できますので優先的に行いたい種目ですね。
おすすめは1種目目に懸垂を行って、広背筋の動きをしっかり機能させたうえで、高重量のデッドリフトを行います。
こうすることで広背筋と脊柱起立筋をしっかり意識してトレーニングしやすくなる効果があります。
ベントオーバーロウ
先ほどの研究報告のグラフを参考にしてみましょう。
僧帽筋中部、下部、先ほどあげた広背筋のグラフでも高い筋活動率を誇っていたので、背中の筋肉をフル動員できる種目ですね。
こちらの種目はダンベルやバーベル、マシンでもできるのでメイン種目として選びました。
ベントオーバーロウでも逆手で握ると広背筋下部に効きやすくなったりとバリエーションも豊富にあります。
まずは順手でベーシックな方法で、背中全体を万遍なく鍛えていきましょう。
飽きてきたら、様々な方法が各方面で紹介されていますので、自分にあった方法を模索していきましょう。
I-Y-T レイズと聞きなれない種目がありますがダンベルもしくはプレートをI,Y,Tと動かす種目です。
インバーテッドロウは自宅でも簡単にできる種目なのでオプションとしてありかな
ラットプルダウン
この種目は握り方、手幅によって効果が変わってくる重要な種目です。
特に初心者の方はこの種目をメインにして鍛えていくことで、広背筋、大円筋を効率よく鍛えることができると思います。
ではラットプルダウンのバリエーションに関する研究論文を紹介します。
GRIP WIDTH AND FOREARM ORIENTATION EFFECTS ON MUSCLE ACTIVITY DURING THE LAT PULL-DOWN
Lusk, Stephen J; Hale, Bruce D; Russell, Daniel MJournal of Strength and Conditioning Research: July 2010 - Volume 24 - Issue 7 - p 1895-1900
doi: 10.1519/JSC.0b013e3181ddb0ab
簡単に要約すると画像のようになります。
バーを握る手幅を広くとるか狭くするか、さらに順手と逆手で広背筋、僧帽筋中部、上腕二頭筋の筋活動率がどう変わるのかを比較した研究です。
結果
グリップ幅に関係なく、順手で握ったほうがより広背筋に効果的ということがわかりました。
ただし、握り手に関係なく僧帽筋中部と上腕二頭筋の働きには変化がなかったということです。
経験則になってしまいますが、逆手で握ったほうがより広背筋下部に効くという感覚があります。
なので、トレーニング経験が豊富になってくると狙った部位にしっかり効かせることも可能になるかと思います。
まずは順手から始めて徐々に逆手を試してみるという方法をおすすめします。
シュラッグ
僧帽筋を鍛えるのにメジャーな種目ですね。
この種目は首をすぼめて収縮させることがメインと考えられていますが、僧帽筋は下制動作にも使われます。
つまり、肩を降ろす動作(荷物を持って歩いたり、降ろす動作)に働きます。
なので、持ち上げることだけを意識するのではなく、ゆっくりとバーベルやダンベルを降ろすことで持ち上げる刺激と降ろす刺激の両方を与えることが出来ると思います。
僧帽筋もメインで鍛えてあげることで、肩こり解消や厚みのある背中を演出してくれると思いますので積極的に鍛えていきたい種目ですね。
まとめ
以上が背中を鍛えるのにおすすめメニュー5選でした。
研究論文から主に効率よく鍛えられそうな種目を選んでみましたが、僕自身もこの5種目をメインにして今でも鍛えています。
僕が筋トレを始めたばかりのころは、懸垂が出来るようになりたくてラットプルダウンを必死にやったりしていました。
でも、懸垂1回出来るようになるのに2か月程度かかってしまいました。
効率よく鍛えることが出来れば1か月で懸垂が出来るようになることも夢ではないと思います。
今では背中をしっかり鍛えていたおかげで太ってしまった時期でもくびれがあることにびっくりしたりしました。
背中のぜい肉を目立たなくさせたい!だとか誰が見ても逆三角形のかっこいい背中が欲しいという方はぜひこの5種目からスタートしてみてはいかがでしょうか
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